2022年5月16日
第202回課題図書:「人形の家」ヘンリック・イプセン 著/原千代海 訳
「あなたは一度も、あたしをわかってくださらなかった。」
世の中の男性の皆様、大丈夫ですか?
女性にこんな言葉、言われたことありませんか?
今回の課題図書『人形の家』は1879年にヘンリック・イプセンによって書かれた戯曲です。
赤メガネの皆さんと今回は小説ではなく演劇の台本としても使用される”戯曲”を読んでお話しをしたかったのです!
皆様「おもしろかった!」
「風景がよく見えた」
「ト書が書かれている事でその場面がより感じれて心が掻き立てられた」
「劇で観たいと思った」
「人物像の輪郭が明確」
「戯曲は小説とは違い、台詞で進んでいくので想像力が掻き立てられた」とのコメント!
私が書いたわけでもないのに、皆さんの所感を聞く時のワクワク感!そしておもしろかったの言葉!
なんだか嬉しくなりました。
これも赤メガネの会の楽しみですね。
ただ、男性・女性やはり感じ方が違うようで、、、
男性は、夫ヘルメルの妻に対しての態度が気持ち悪い。や(嫁を)バカにした感じが嫌だった。と不快感。
女性は、ノーラが”可愛がられてる妻”から”自立した女”になることで快感や応援したい気持ちになった方も。
おっと、ネタバレになりそうなので
少しイプセンのお話を。
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この作品を書いたイプセン。
彼は日本の演劇に大きな影響を与えました。
日本の新劇(能・狂言、歌舞伎などの伝統演劇をさす「旧劇」に対する呼称。近代・現代演劇)運動はイプセン劇の上演から始まったといわれています。
そして、シェイクスピア以後、世界でもっとも盛んに上演されている劇作家とも言われています。
そんなイプセンが書いた『人形の家』
143年前に書かれ、何度も上演されている作品ということで、やっぱりネタバレをお許しください。
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「あたしは、何よりもまず人間よ」
ノーラは夫にそう言って家を出る。
女性としての自立を目指す嫁のノーラ(ノラ)は、”新しい女”たちの象徴ともいえるヒロインでした。
愛と結婚についての物語のなかで、自分自身が何者なのかを確かめるのが人間の務めではないかと問いかける作品です。
この「女が、夫と子供たちをおいて、家を出て行く」という結末が大きな衝撃を与え、広く論争を巻き起こし、世界各国で上演されてイプセンに一躍名声をもたらしたようです。
1911年(明治44年)に日本で初演。
この時、日本では平塚らいてう(らいちょう)が婦人月刊誌『青鞜(せいとう)』を創刊。
「女性よ、目覚めよ」の呼びかけに共鳴した若い女性たちが次々に加わり、女性解放運動をリードしていた頃でした。
世界中で女性が変わろうとしていたのですね。
社会的リアリズムの作品には、ヒーローも悪役も存在せず、行動の善悪を提示され、観客は自分自身の価値観に照らし合わせて考えることになります。
答えが提示されないからこそ、観客は自分で答えを見つける楽しみがあります。
だからこそ、色んな角度からのお話しが聞けて今回も楽しい時間でした。
そしてすっごく!
『人形の家』を舞台で観たくなりました。
─ 文・宮崎 夢子 ─