2018年4月

2018年4月6日
課題図書:「ロボット(R.U.R)」カレル・チャペック
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“ロボット”という言葉を聞くと、興奮してしまいます。いや、これは私だけではなく、男性は概ねそうなのではないでしょうか。
それは恐らく、子供の頃にアニメや漫画を通した体験からくるものだと思っています。
個人的には、鉄人28号、鉄腕アトムやがんばれ!ロボコン。機動戦士ガンダムや機動警察パトレイバー等々。
数えあげればきりがないほど、ロボットを題材にしたものは多くありました。子供心をそそる形状や機能満載。
それらを駆使した魅力的なストーリーを毎週心待ちにし、鑑賞後は友人たちと無邪気になんとかごっこをしたり、
もうとにかく思い出がいっぱいなのです。

かつては、アニメや漫画は、男の子向け女の子向けに分かれた傾向がいささか強かったと記憶しています。
しかし、時代は昭和から平成に変わり、その平成ももう終わりが近づいているわけで、世の中は変わり続けていて、
私の様な時代遅れのガンダム、タイムボカンシリーズ世代(どちらもいまだにシリーズが続いてはいますが)には
想像ができないほどの多様化が、この世界にも広がっているのでありましょうし、
そうなれば、女性にだってロボットという言葉に興奮する人は多くいるでしょうし、
ということは、上で述べたようなロボット=男性の興奮という図式はもはや、過去の思い込みにしか過ぎなくなっているのでしょう。
ただ、よくよく考えてみますと、“ロボット”というのは何もアニメや漫画に限らず、近代以降に人々の労働の代わりになるものとして、
我々の生活に身近なものとして存在してきましたし、現代では、アイボやペッパーなどAIが内蔵されたロボットの登場により、
より身近さが加速しているように思われるのです。

さて、そんなロボットについての話をノスタルジックに始めたのは、今回の課題図書が、カレルチャペックの『ロボット』であるからなのですが、
なかなかメンバーを唸らせる作品でありました。そもそもこの“ロボット”という言葉は、チャペックが生み出した言葉なのであります。
正確にはチャペックの兄からヒントを得て作った言葉なのだそうです。
ご存知でしたか?なんか昔からあるような感じはするが、そんなに昔からではなさそうな、でもいつからなのだろう…なんて漠然と思い、
漠としているからこそ、実生活にそんなに必要ではないがゆえに、しっかりと調べもせず的な案件のうちの一つですよね。
1920年に発表されました。ですので、それからロボット的なものの概念に、ロボットという言葉が合致したのですね。
そして、この作品は戯曲です。 ストーリーは、R.U.R社が人間の代わりに労働するロボットを製造しているのですが、
そのロボット達が反乱を起こし、人間を世界から葬り去ろうとします。ロボット達は人間の代わりに社会を構築するため、
ロボットの子孫をつくることを望んでいます。そのために、人間を一人だけ生かします。
それはR.U.R社の建築主任なのですが、彼はそんなことは不可能だと、ロボット達の願いを断り続けます。
そこに現れた2台の男型と女型のロボット。彼らが持っていた自己犠牲性、献身性を見た建築主任は生命の不滅を感じた、というものです。

ここで知っておかなければイメージが湧きにくいのが、このロボット達は、いわゆる鉄的な素材で出来たカクカクしたものではなく、
見た目は全く人間と変わらない姿をしているということです。イメージはブレードランナーのレプリカントやドラゴンボールの人造人間18号達です。
もしかしたら、アトムやペルソナ3のアイギスみたいな、少しだけメカっぽい感じかもしれません。
いずれにせよ、ぱっと見では区別がつかないのです。 そんな「ロボット」。

メンバーの多くは、1920年に未来(我々にとっては現代)のことを言い当てている作品の凄さに圧倒されていました。
とはいえ、いくら100年も前の作品とはいえ、どこの題材自体がエポックメイキングになったか疑問であるという意見もありましたが、
会の終了時には、全員がマスターピースであるということで一致いたしました。
良作であることは、メンバー間で一致しながらも、それぞれの思いや感じたこととしては、

・現在までにある多くの作品に多大な影響を与えているに違いない
・登場人物のヘレナにうざさを感じる 
↑(これはヘレナがロボットに感情を持たせる原因になっていることや余計な事をすることがベースになっている)
・ロボットではなく人造人間ではないか!
・チャペックが好きになっちゃいました
・これまでに感じていたロボットやAIなどに対する得体の知れない怖さを理解できた
・舞台をやっている身としてこの作品を演じることの難しさを感じた
・なぜなのかはわからないが心に残ったセリフが多くあった

等々が挙がりましたが、全体として皆の心を占めたのは、「人間って何だろう?」「ロボットって何だろう?」ということでした。
作中では、ロボット達が子孫を残そうと一人の人間に望みを託すのですが、結局、それができるのかどうかはわかりません。
それがポイントとして気になるメンバーも多かったのです。ロボットとはいえ、自分で考えることもでき、意志による行動も起こせ、
進化もしていける存在。ただ、生殖機能だけ持たないがゆえ、繁殖し、未来に渡って社会を維持していくことは出来ないのです。
逆に、当の人間は、ロボットに出来ない生殖機能を持っているにも関わらず、自らそれを放棄している者も多くいるのが実情です。
乱暴な言いかたではありますが、人間とロボットの逆転が起きてはいないでしょうか。また、人間の人間性とは。意識か?身体か?
それともすべてがそろってのものなのでしょうか?遠い未来、もしかしたら我々は、現在とは違う形に進化しているかもしれません。
そうだとすれば、今現在の我々の概念では捉えられない定義がなされているかもしれません。AIは人間を超えるのでしょうか?
奇しくも先ごろ、AIに警鐘を鳴らし続けていたホーキング博士が亡くなりましたが、一方でAIは人間を超えることはないし、
安全であるという人もいます。AIと人間が融合することだってあるかもしれません。そうなったときに人間という定義はどうなっているのでしょうか。
疑問は尽きません。そして、おかげで思考は止みません。いくら考えても今の時点での我々では、答えが見つけ出せませんが、
危機感をもたせてくれ、深く人間というものを考えさせてくれる作品でした。