2016年12月16日
課題図書:「林檎の木の下で」アリス・マンロー
これまで、赤メガネの会の課題図書を通して巡ってきた国は、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、ドイツ、ギリシャ、中国、ハンガリー、チェコスロバキア、南アフリカ、コロンビア、スウェーデン、チリ、ウクライナ等々。
本を開けば瞬時に、これまで知らなかった場所にテレポーテーション出来るのも、読書の楽しみのひとつと言えよう。今回”訪れた”のは、赤メガネの会にとっては初めての国、“カナダ”だ。
カナダ文学は、他の英語圏の文学と比べると歴史が浅いこともあってか、モンゴメリの『赤毛のアン』以外知る人も少ない中、2013年にこの人がノーベル文学賞を受賞したことで、カナダ文学に一躍注目が集まることになったと言われている。
アリス・マンロー。
“短編小説の名手”と言われる彼女の作品から、今年最後の課題図書に選ばれたのは、2006年に刊行された『林檎の木の下で』。
17世紀にスコットランドの寒村エジンバラに住んでいた遠い祖先が、19世紀前半になり、一家三代でカナダへ。三世紀に渡って祖先を辿る、自伝的な物語が12編の短編によって語られている。
そんな本を、赤メガネのメンバーは、どのように読んだのか?
第一部が父親までの物語になっているのだが、登場人物が多いということもあり、参加したメンバーは私を含め、なかなかその世界観に馴染めなかったのか、ページが進まず四苦八苦。お手製の相関図を書きながら乗り切ったいう人もいた。
でもその半面、アリス・マンロー本人と思われる人物にまつわる物語で構成されている第二部に入ってからは、すんなりと読み進められたという人が多かったようだ。
無名の庶民である一族が、広大なるカナダの土地で過ごした人生は、一見ありふれたものに見えるかもしれないが、その暮らしの中に出てくる人々のエピソードによって、次第にどれも愛しくなってくる。短編ひとつを読み終えたあとの読後感は、まるで長編小説を1冊読んだかのようだ。この本によって触発され、自分のルーツを遡りたくなり、家系図まで持ってきた人や、自分の家族について語る人もいた。そんなに赤裸々に、自分について語る読書会は、これまでなかったのではないだろうか?
“どんな人たちによって、自分というものが作られたのか?”
自分や家族について、これまでと違った角度で考えさせてくれる小説だったということだろう。
まもなくやってくる年末年始の帰省時には、母や親戚に、ご先祖さまが生きた“過去”について、聞いてみたいと思っている。良くも悪くも私の持つこの“正直さ”は、どこから来ているのかということも。
そして今回は、クリスマスプレゼントの交換を行いました!
年内最後の赤メガネの会では毎年恒例のイベントです。
一人一冊、本のプレゼントを持ち寄りました。
誰からの本が当たるのか、開けるまでのお楽しみ♪