第228回
2024年1月10日
課題図書「異常【アノマリー】」エルヴェ・ル・テリエ著 加藤かおり訳
意味深なタイトル、手に取らずにはいられませんでした。
何が異常なのか。誰が異常なのか。どう異常なのか。タイトルから推測できないことは読んで解消すればいい!ということで、今回の課題図書となりました。
私が購入した本書は赤一色のフルカバー帯装備で「あらすじ検索禁止」とデカデカ書かれていました。個人的に前情報や前評判なしで読むのはあまり好まないのですが、こんなに大々的に書かれているならばとその宣伝文句を鵜呑みにして、まっさらな状態で読んでいきました。
読んでみたら、訳がわからない展開しかでてこない。
まさに「異常」・・・
今回ともにこの「異常体験」してくれたメンバーの感想は、
・表紙が怖い
・あまり合わなかった
・混乱して読むスピードが落ちてしまった
といったややネガティブな印象をお持ちになった方がいた反面、
・「三体」くらいSFとして面白い
・フランス文学だけど読みやすかった
・日本文学にはない宗教観や倫理観が描かれていて物語に深みが生まれた
などの好評価も!
選書者としては、異常の先にある作者の真意は何なのかが最も気になるポイントでした。メンバーの解釈や自分なりに消化した結果、本作の中で描かれている「特殊設定」は、正解のないことに対する作者なりの答えだったのかなぁと思いました。
何を書いてもネタバレにつながってしまうので内容には触れませんが、ぜひ一気読みしてほしい!そして本書を読んだ人とぜひ「生き方」について語り合ってほしい!そんな感想を持った一冊でした。
ー文・水野 僚子ー