2024年3月

第231回
2024年3月14日
課題図書「ともぐい」河﨑秋子

今回の課題図書に選ばれたのは、第170回直木賞を受賞し、「新たな熊文学の誕生!!」と評されている河﨑秋子さんの最新作です。

もう何年も前になりますが、とある熊に関する文学を読んだメンバーによる伝説的コメント「ベアパニック」の再来を期待して、今回の課題図書に挑みました。

※「ベアパニック」とは、オチにまさか熊が関わっていたとは! という驚きなどを表現したオリジナルフレーズです。

まずは本作のあらすじですが、
明治後期、人里離れた山中で犬を相棒にひとり狩猟をして生きていた熊爪 (くまづめ)は、ある日、血痕を辿った先で負傷した男を見つける。男は、冬眠していない熊「穴持たず」を追っていたと言うが…。

この本のファーストインパクトは主人公の名前「熊爪」

え? これ人の名前?

人里から離れて生きる熊爪は山男というか熊男というか…屈強な体躯を持ち、過酷な自然環境で逞しく、本能むき出しで生きる。生きるために狩る。
都会育ちの私には熊爪の生活は刺激が強すぎて、(あくまで褒め言葉ですが)とてもグロい。しかし、恐ろしさを感じつつも、熊爪の生き様に何故か引き込まれていくのは、河﨑さんの文章力が素晴らしいことの現れなのかもしれません。

河﨑さんの文章は力強く説得力も抜群。作品の内容もさることながら、河﨑さんのことが気になり、調べてみると↓↓↓

河﨑さんは1979年北海道別海町生まれ。酪農家に生まれた河﨑さんは、自身も酪農やめん羊飼育の経験があり、北海道を舞台に、自然の厳しさや複雑な人間関係を描く作品を生み出してきました。

うん、納得!

ともに「ともぐい」を読んだメンバーも、本作の自然描写には感服しており、生々しさの中にもワクワク感を持ったようでした。そして皆の関心はやはりラストシーン。ネタバレ防止のため詳しく書けないのが残念すぎますが、メンバー各々の解釈は非常に興味深いものでした。自分とは真逆の解釈・分析を聞けるのが読書会の醍醐味。振り返ってみると「なるほどなー」と何度も感じた回だったと思います。

本作の感想をコンパクトにまとめると、「ベアパニック」というよりは「ネイチャーグロ」といったところでしょうか。

それにしても、あぁ、熊は本当に怖い。

― 文・水野 僚子 ―