2017年4月

2017年4月21日
課題図書:「華氏451度」レイ・ブラッドベリ
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今回の課題図書は「華氏451度」レイ・ブラッドベリ。

最初の数ページをめくると、タイトルの「華氏451度」についてこう記されている。
「この温度で書物の紙は引火し、そして燃える」
おお?書物が燃える?!と出だしから恐ろしいお話の予感。

物語のあらすじは、本が禁止され思想が管理された未来の世界。
そこで「昇火士:ファイアマン」の仕事につくガイ・モンターグ。
彼は、本が家に隠されていると通報を受けると、仲間と共に即出動!
現場に到着したらすぐさまに、本だけでなく家もろとも焼き尽くす事が使命。
そんなモンターグは、いつものように仕事を終えた帰り道、ある日、不思議な少女に出会う。
彼女と会話を重ねる中で、モンターグは社会に対する疑問を感じ始めていく。

なぜ本を読んではいけないのか?本の中には何が書かれているのか?
そんな危険な思想を持つモンターグは国家反逆者として追われる身に。
彼の行動は世界に、未来に何をもたらすのだろうか―――。

読み終えたメンバーの感想は、「面白かった」「読んで良かった」という意見が多数。
「読みやすかった」「著者の哲学がわかりやく書かれている」など。
一方で「もっとスリリングな展開を想像していた」「もう一捻り何かが欲しかった」
と物足りなさを感じるメンバーやSFの世界観にイメージがなかなか追いつかないメンバーも。(←私)

皆口を揃えて話していたことは、生々しい現実感を覚え、SFとは思えない作品だということ。
この作品が64年前に書かれたものだとは思えない予言的小説なのである。
作中に「古典は十五分のラジオに縮められ、次にはカットされて二分間の紹介コラムにおさまり、
最後は十行かそこらの梗概となって辞書にのる。」という言葉が出てくる。
正に現代に置き換えられることで、今はなんでも短く簡潔な表現を求められる。
まとめページを読んでわかった気になり、それ以上掘り下げて考えることが少なくなってきているのではないか?と・・・
他にも「もし今この世界でインターネットが使えなくなったら?」
とイメージしてその色々な面での恐怖について話しが広がっていった。

アメリカでは国民文学に準じる地位にまで押し上げられているというこの作品。
なぜ、そこまで“大切な本”として読み継がれてきたのか?との問いに、メンバーの一人から
いつの時代にもおこる「人間の怖さ」を、この本から感じ取ったという話しが印象的だった。

恥ずかしながら最近になり本をしっかりと読むようになった私は、どうしても何も考えずに世界に馴染んでいってしまう側に意識が・・・
しかしながら、私は今、この本を読んだのである。
そして赤メガネのメンバーで議論を交わしたのである。
本を読むこと、そして一緒に考えること、その時間の大切さをより噛み締められた読書会になったのは、
この作品のおかげなのだと思いました。ありがとう、ブラッドベリ。