2017年9月

2017年9月16日
課題図書:「日本のいちばん長い日」半藤一利
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今回、私が赤メガネの課題図書として選んだのは、お世話になっている広島出身の知人に勧められた書籍です。
もともと日本史に関して、教科書程度の知識しかない私の初読後の感想は、正直、難しすぎて理解できませんでした。
ですが、映画を見てから再読したところ、かなり理解が深まりました。
私のように、日本史に明るくない方は、映画を観てから読んでみることをお薦めします。

さて本書の内容ですが、1945年8月14日正午からの宮城事件、ポツダム宣言受諾を知らせる玉音放送がなされる8月15日正午までの24時間が描かれています。
プロローグでは、ポツダム宣言を「ただ黙殺するだけである」との鈴木首相の発言がラジオで報道され、相手国から日本は拒絶したと受け取られる結果となり、
その後の原爆投下とソ連参戦の口実とされたことから始まります。次いで、長崎への原爆が投下。数日間にわたり閣僚会議は続きますが、結論は出ず、
最後は御前会議で聖断を仰ぐことなり、天皇は、ポツダム宣言受諾を宣言。天皇のラジオ録音放送が確定し、録音がなされ、録音盤は隠されて、放送の準備は整います。
一方、陸軍省軍事課員は玉音放送を阻止しようと、近衛師団を使ってクーデターを企てます。偽の師団長命令にて近衛師団を動員。
血眼になって録音盤を見つけようと、皇居中を捜索しますが、結局発見に及ばず。最後は東部軍により鎮圧され、玉音放送は予定通り行われます。
そんな数多くの出来事を、登場人物の発言を元に構成して描かれているので、とても臨場感がありました。
例えば、阿南陸相は、陸軍省で最期の酒盛りをしたあと、半陸軍省の廊下で割腹自殺しますが、その直前に「米内を斬れ」とぽつりと言ったというシーンがあります。
この言葉が気になり、あるメンバーは、阿川弘之さん著書の「米内 光政」も併せて読んでいました。
半藤さんの本から陸軍側の見解を知り、阿川さんの本では、海軍から見た戦争を知ることが出来たそうです。

その他のメンバーの寸評としては、以下の通りでした。
・クーデターを起こした下級将校や戦争主導者の両方が描かれており、勇敢な人々対する礼賛は否めず、読みながら葛藤があった。
・玉音放送の裏側が、興味深かった。録音盤には正と副の2枚あり、またそれを命がけで守る人々の緊張感に興奮した。
・ポツダム宣言に対する返事で、「ただ黙殺するだけである」という鈴木首相のコメントが、ignore・rejectと解釈され、
広島に原発が投下されるシーンや、subject toの翻訳を巡り、時間がない中で一生懸命調べて、言葉の一言一句を大事にしているところが泣けた。
・終戦を巡り、多くの人々が死んだことに驚いた。今の日本人では理解出来ない。自分が生まれる20-30年前の事実だとすると、日本は大きく変化したと実感した。
というものでした。
赤メガネの会には、歴史に強いメンバーがいるので、書籍にまつわる他のエピソードも聞くことが出来て、それにより、知識も深まり、とても実りのある読書会となりました。

日本人は、他の国の人に比べ、自分の国の歴史を知らないと言います。
是非この機会に、この本を読んで、日本の一番長い日=日本が大きく動いた日のことを、知ってもらいたいと切に思いました。